オーバルのつくりかた

 

僕はいわゆる“勤め”というものを

長い期間がっちりとハマってやったことがあまりないので

世間一般の仕事に対する姿勢というものが

あまりわからないのですが

 

陶芸という、一般的には趣味的な分野を

仕事にしているということはどう見られているのだろうか?

と思うことがあります。

「良いですねぇ!」と言われることもあるし

「大変でしょうねぇ…」と心配されることもある。

何の仕事でも楽しいの辛いもその人次第だと思うのですが

この陶芸に関しては羨望のまなざしを向けてくださる方のほうが

多いように思います。

土に触れ、火に預け、陶器となる。

歴史も深く、そこにまつわるドラマも多く

ロマンチックに感じるのかもしれません。

 

 そんな仕事です

「飽きちゃった」なんて人には言えません(笑)

 

でも、あるときから窯のふたを開けるたびに

同じようなものがいつも通りに焼きあがっている状況に

嫌気がさし始めていました。

成型の技術も上がり、釉薬や焼成のコントロールが

できている証なのですがそれがどうも面白くない。

 

始めた頃は窯のふたを開けるのが心配で仕方なかった。

何もかもに自信がなかったから、うまく焼きあがるのか…と

気が気じゃなく、それだけに、思い通りに焼きあがることとか

まだ作ったことのない形状を成型してみることなどへの喜びがありました。

それがいつしか上手に焼けることが当たり前になり

陶芸は「お仕事」になりました。

 

それから色々考えすぎて調子を崩したりし

方向性を迷い迷いしているなかで生まれたのが

オーバルの仕事でした。

これが出来たおかげで気持ちもある程度持ち直しました。

 

ざっと工程をご紹介します。

スライスした粘土を型にかぶせる、または押し込むなどして

大・中・小のオーバル皿、鉢を

様々な粘土(磁器土・半磁器土・唐津の白土・赤土…etc)

で成型し、素焼きします。

これはキャンバスとなりますので余裕をもってたーくさん用意します。

 

あとは素焼きのうつわを工房に一気に広げ、5枚くらいずつ目の前にもってきて

それぞれどういった仕上げにするのか、メモ紙に「レシピ」を描き

中に放り込んでいきます。

レシピのメモ↑は捨てずに取ってありますが、後から見てもどれがどれのものかは

正確には分かりません(笑)

今の段階ではゼロからアイデアが出そうとすると時間がかかりすぎるので

図録や雑誌などから気に入った陶器の写真をたくさん撮り

目の前に色分けして張り付けています。

 

ここからアイデアを組み合わせながら絵付けや釉がけの方法などを

レシピにしていきます。「アイデアのパレット」と言っていいかも。

「編集」と「即興」が半々といった作り方です。

 

組み合わせの妙が生まれることもありますし

続けていると、まったく別のところからアイデアが降りてくることもあります。

なるべく最初に思いついたままを形に、時間をかけすぎないこと

描き直し、やり直しはしないのがルールです。

 

こういったやり方は

焼き上がりは怖いけれどその反面、早く焼き上がりを見たくて仕方がない…

そういった最初の頃に気持ちに戻してくれました。

最後に、上のレシピカード写真に書かれているレシピで仕上げたオーバル鉢を

ご紹介します。

 

なんだかよく分かりませんが

一からデザインを起こし、こういった鉢を作ることは絶対にないので

本当に新しい気付きをたくさんもらえる仕事だなあと楽しんでいます。

 

これが売れるかどうかは置いておいて(苦笑)