オーバルズのこと

お気に入りの皿がいくつも生まれました
とりわけこの皿などには、今はもうない爺ちゃんのアトリエの
絵の具の香りなどを感じたりします。

どうやって作ったのかは覚えていませんが…


先日の窯出しでは大・中・小、オーバルの鉢や皿をばかりを焼きました。

天草陶石の磁器と、様々な陶器の粘土を仕入れ
四種類ほどの形状をランダムに100枚以上成型し素焼き。
あとは、一枚一枚場当たり的に仕上げを施していきました。
学校で習うような“技法”といった感じではなく
できるだけ子供が遊ぶような感覚で、絵をかいたり
絵具や釉薬を塗ったり
打ち付けたり散らしたりして使い仕上げました。

窯出しの際には正直に言うと、とてもがっかりしました
思ったよりも全体的にトーンが暗かったからです。
白く焼きあがると思い込んでいた土が、意外と茶色だったりして
予想は大幅に覆されました。
その日は半日寝込みました(笑)


そのまま終えるわけにはいかないので
後日気を取り直し、どうしても納得のいかなかない40枚に
銀と、生まれて初めての色絵の具を
塗りつけ再度焼き付けました。
皆、生まれ変わってくれました。

「直感」と「結果を受け止める広い心」
それに加え「対応力」が必要な仕事かもしれません。

昨年は体調を何度も崩しました。
その中で、そもそもどういった仕事がやりたいのかを
何度も考えました。陶芸に関わってきた中で
どういう瞬間が一番楽しいのか。

答えは“テストピース”でした。

修行中、窯炊きの前後は
どんなに夜更けになっても釉薬のテストピースを
入れることを怠りませんでしたし、全く苦になりませんでした。
窯入れのたびに師匠にお願いし、何十個も素焼き片を入れさせてもらい
どういう焼き上がりになっているのか
ワクワクしたものです。

もちろん独り立ちの時へ向け、データを集めたい一心もありましたが
それ以上の何かがないとコンテナ30杯分も作るはずがありません(笑)

そして個人作家になって8年が経とうとして
ふと振り返ると、窯出しする度にあったはずのワクワクが
あまり無くなり、陶芸は“お仕事”になっていました。

これでは潰れてしまうと
昨年末考えに考え、出した結論は
形状をオーバルに固定したうえで
「作品を全てテストピース化する」ことでした。

今回の窯は、怖くて怖くて
開けるまで気が気じゃなかったけど
いつもの僕のアタマでは考えつかないようなものが
いくつも生まれました。手ごたえを感じています。

個展会場に来られて、戸惑うこともあるかもしれませんが
お気に入りの一枚が見つかった際には、どうか
連れて帰ってやってください。
僕の好みだけでは測りきれないものもありますが
モノサシは皆様のものをお使いください。

ただ使うだけの「器」としては少々高価かもしれませんが
どれも一枚しかない一期一会の品です。

こういう窯をあと5回も焼き続ければ
きっともっと良いものが生まれます。
一度に100近くののデータが生まれるわけですから(笑)


とにかくは、玉川高島屋より始めてみますので
どうか皆様には、僕にこの仕事を続けるチャンスを与えていただけますよう
心より、心よりお願い申し上げます。